TBS日曜劇場『ロイヤルファミリー』第1話レビュー|馬と人、そして「家族」の物語が始まる

TBS日曜劇場の新作『ロイヤルファミリー』。主演・妻夫木聡 × 佐藤浩市 × 塚原あゆ子監督という豪華布陣だけで期待値は最高潮。
第1話を観た率直な感想は、「想像以上に“競馬”と“人間ドラマ”が緻密に交差していた」ということです。
第1話あらすじ
大手税理士事務所に勤める栗須栄治(妻夫木聡)は、ある案件をきっかけに仕事への情熱を失っていた。
そんな中、ロイヤルヒューマン社という人材派遣会社から「競馬事業部の実態調査」という依頼が舞い込む。
依頼主は同社の人事統括部長・山王優太郎(小泉孝太郎)。彼の父であり創業者の山王耕造(佐藤浩市)が競馬事業にのめり込み、赤字を垂れ流していることに業を煮やしての調査依頼だった。
耕造の妻・京子(黒木瞳)もまた、夫の競馬事業を快く思っていない。つまり、家族の中でも“馬”をめぐって対立が起きている構図だ。
栄治は耕造に会うため北海道のセリ会場へ向かうが、いきなり遅刻。
その間に耕造はライバル馬主・椎名善弘(沢村一樹)に目当ての馬を競り負けてしまう。
初めて見るセリの緊張感と熱気に圧倒される栄治――ここで彼の「競馬の世界」への扉が静かに開く。
そして運命の再会。耕造の所有馬の世話をしていたのが、かつての恋人・野崎加奈子(松本若菜)だった。現在は北海道の実家ファームを手伝っており、馬とともに生きる道を選んでいた。
調査を終えた栄治は「競馬事業部撤廃」を報告。だが、加奈子から聞いた“馬の命と人の生き方が直結する現実”に心を揺さぶられる。そして再び北海道へ――。
税理士として、人として、何を守り、何を選ぶのか。
栄治の「第二の人生」が静かに動き出すエピソードだった。
馬主・生産者・厩舎の関係をドラマで整理!
競馬ドラマを観るときに少し混乱しがちなのがこの関係性。
『ロイヤルファミリー』では、この3つの立場がしっかり描き分けられています。
立場 | 現実での意味 | ドラマでの該当人物 |
---|---|---|
馬主(オーナー) | 競走馬を所有し、レースに出走させる人。賞金を受け取る。 | 山王耕造(佐藤浩市)・椎名善弘(沢村一樹) |
生産者(ブリーダー) | 馬を繁殖・育成して販売する牧場の人。 | 野崎加奈子(松本若菜)の実家ファーム |
厩舎(調教師) | 馬主の馬を預かり、調教・出走の管理を行う。 | 第1話では具体的な調教師名は出ていないが、美浦トレーニングセンターが登場。 |
つまり耕造は「馬を買う側」、加奈子は「馬を育てる側」。この2つの世界の間で、栄治は“経済と情熱のはざま”に立たされるわけです。
塚原あゆ子演出の妙|「見せすぎない1話」
やはり塚原あゆ子監督の演出が光ります。キャラクターの表情、沈黙、風景の切り取り方ひとつひとつに意味があり、“何かが起こりそう”という緊張感を常に持続させる。
特に印象的だったのは競馬場の馬主席シーン。おそらく新潟競馬場での撮影ですが、背景の観客は本物?と思うほどリアル。
フォーカスを浅くして人々をぼかすことで、まるで本当にその場所にいるかのような臨場感がありました。
(あの人数のエキストラを動員するのは相当コストかかりますよね…!)
さらにJRA全面協力ということで、美浦トレーニングセンターの映像も登場。実際に冬場の朝もやの中での調教見学をしたことがある身としては、あの幻想的な雰囲気をここまで映像化できるのは本当に見事でした。
気になる伏線と今後の展開予想
- 耕造の競馬事業の「真の目的」は何なのか?
- 加奈子が栄治の人生にどんな影響を与えるのか?
- そして物語の中心となる一頭の馬は、どんな運命をたどるのか?
- 写真で登場の目黒蓮は何者?
筆者は原作を読んでおらず、ドラマのみの情報です。(原作を読んだ方にとってみればアホくさい予想だと思います)山王耕造(佐藤浩市)が競馬の魅力を語る際に有馬記念が一番だというセリフがありました。きっと有馬記念に向かっていくんだろうなぁと想像できます。ドラマのクライマックスもクール終わりですから。
ただ、塚原作品のことなので、単なるスポ根や成功譚では終わらないはず。
“家族と仕事”“夢と現実”というテーマを、馬という存在を通してどう描くのか――。もっと胸を掻きむしられる展開があると思われます。
第1話ラストの写真含めて伏線の仕込みは万全。今後がますます楽しみです。
まとめ:馬の物語は、結局“人の物語”
『ロイヤルファミリー』というタイトルが示すように、この物語の中心にあるのは“家族”と“継承”。それは血のつながりだけでなく、「想い」や「信念」をも受け継ぐという意味でもあるように感じます。昨今のTBSドラマはVIVANTの成功以来、冒頭1話では筋書きを読ませない工夫、手法をとっている気がします。まだまだオープニングといったところでしょうか。スケールの大きさと人間ドラマ描きますは伝わりました。
競馬を知らなくても、きっと誰もが胸に響くヒューマンドラマ。
そして競馬ファンにとっては、リアリティと映像美にうなる一作になるはずです。
第2話が待ち遠しいですね。
🔗 公式サイト: https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/about/